「保定期間」
矯正には矯正装置を付けて歯を綺麗に並べる「動的治療期間」と、並べた後の、“後戻り”を防ぐ為の「保定期間」という二つの期間に分かれます。
矯正のイメージは前半の動的治療期間かと思いますが、実は後半の矯正装置が外された後の保定期間がとても大切です。
この保定期間をおろそかにすると、歯並びが元の状態に戻ってしまうというリスクが潜んでいます。
歯並びというのは患者さん個々の生活や、遺伝など様々な要因で決まってきます。その様々な要因、環境で出来上がった歯並びというものを、矯正装置を用いて並べていきますので、元の状態に戻ろうとする力が働くのは、人間の身体の仕組みとしてはごくごく自然なことだったりします。ダイエットのリバウンドを考えるとイメージしやすいかと思います。
例えば捻転歯(捻じれている歯)をまっすぐに治した場合、歯根の周りにある歯周繊維という繊維が捻じれた状態になり、ゴムのように戻そうとする力が働きます。
或いは舌圧が強く、外に前歯を押し出そうとする癖のある患者さんの場合、舌の癖を治さない限りまた押し出そうとしますので、矯正治療を終えても少しずつ前歯が出てしまうということもあります。
このような場合、歯を並べると同時に、舌トレーニングなどを行い歯並びに影響する要因をなくすこと、そして矯正治療が終わっても歯周組織が綺麗な歯並びに合わせて安定するまでは保定装置を使っていく必要があります。
保定期間は患者さんによって多少の違いはありますが、綺麗に治した歯並びを長く維持していくためにもとても大切な時間なのです。