出っ歯の原因と弊害
今日は受け口と同じく日本人に多い症例の一つ、上顎前突(出っ歯)の原因と弊害についてみてみようと思います。
上顎前突とは、文字通り上あごの前歯が前に飛び出している症状で、出っ歯と呼ばれることが多いかと思います。ただ出っ歯と一言でいっても、原因によっていくつか種類があります。単に上顎の前歯が前に出ている場合もありますし、上あご自体が下あごよりも大きいために上顎が前に出ている状態になっているものとあります。
上顎の前歯が前に出ているタイプの出っ歯の原因としては、舌癖や指しゃぶりなどの癖から来ている場合が多く見られます。出っ歯につながる舌癖は、常に上顎前歯を押し出す力が加わり続けている患者さんです。また指しゃぶりに関しては、通常三歳程度で終わるといわれていますが、永久歯に生え変わるころまで癖が残っていると、その分前歯を外側に押し出す力が前歯に影響を与えてきます。指しゃぶりに限らず爪を噛む癖なども上顎前突の原因になることもあります。
骨格性の上顎前突(上あごが前に出ている)の場合は生まれつき上顎が大きい場合や、下顎の成長があまり進まず上下顎の大きさに差が出てしまうことで起きることがあります。
前者の癖による上顎前突の場合は比較的矯正治療はしやすく、歯の傾きを治していくことで歯列はきれいになりますが、舌癖などの癖も同時に治していかないと元に戻ってしまうことが多々あります。骨格性の上顎前突は、下顎の成長を促しながらの矯正治療が必要になります。そのため子供のうちの矯正治療が効果を発揮します。成人になってからの矯正治療の場合、外科症例になるケース、抜歯が必要になる可能性が少し上がってきます。
出っ歯の矯正治療の場合、見た目を気にされてクリニックに来院する患者さんが多いのですが、実は見た目だけでなく様々な弊害につながるリスクもあります。
上顎前突がひどい場合は、口が常に開いている状態になりますので、口が渇きやすく(ドライマウス)唾液による自浄効果が下がります。そのため虫歯や歯周病、口臭につながるリスクも高くなってしまいます。また、スポーツをやられる方の場合はケガのリスクが格段に上がります。特にバスケットボールやサッカーなどの身体が接触するスポーツの場合は、歯が折れてしまうリスクや、唇を切ってしまうこともあります。
最近では見た目の改善のために矯正治療をするだけでなく、様々な弊害を防ぐためにも矯正治療を受けられる方が増えてきています