指しゃぶりの歯並びへの影響
今回のテーマは指しゃぶりの歯並びへの影響についてです。不正咬合になる原因には舌癖、骨の成長、遺伝など様々あります。その中の一つに指しゃぶりも影響があると考えられています。
しかしこの指しゃぶりの影響の度合いに関しては歯科医師によって意見が分かれていて、小児歯科と矯正専門医でも違ったりします。矯正専門医では4歳くらいまでに指しゃぶりを卒業できれば永久歯列にはそれほど影響を与えないという考えが一般的ではないでしょうか。
今回は、指しゃぶりをいつまでに止めるということではなく、もし悪影響を与えるまで続いたとしたらどうなる可能性があるのかを少しご紹介していければと思います。
指しゃぶりはお母さんのお腹の中にいるときから始まっていて、生まれてからは眠気と寂しさを和らげるために指しゃぶりをすると考えられています。
この指しゃぶりが長く続くと、歯列に悪影響を与えるというのは、歯は弱い力でも長時間に及ぶと動くからです。5歳、6歳くらいになっても続いた場合、指をしゃぶりやすい歯列になってくることは十分に考えられますし、場合によっては呼吸、発音、咀嚼(噛むこと)に問題が出てきてしまうこともあります。
歯並びに注目してみると、開口(オープンバイト)になる可能性が高くなります。指をしゃぶる為に前歯が噛み合わなくなり、奥歯だけで咬んでいる状態です。また、上顎前突(出っ歯)になる可能性も高くなります。上顎前突には下顎の成長が進まなかったことで起きるものもありますが、指しゃぶりからの影響で上顎前歯が外側に出てしまうことは多々あります。また、指を強く吸うことで頬が歯列を内側に押す力が加わり、交叉咬合になったり、歯列弓が細くなってしまうことで叢生(デコボコ、乱ぐい歯)になってしまうということもあります。
このように様々な影響が考えられる指しゃぶりですが、そうはいっても2歳、3歳くらいからすぐに指しゃぶりを改善しなくてはいけないということを伝えたいわけではありません。また歯列に影響が出てきたからといってすぐに矯正治療をしなくてはいけないということでもありません。あくまで患者さん個々の状態によっては様子を見たほうが良い場合もあります。大切なのはどういった可能性があるのかを考えてしっかりと専門医と相談していくことだと思っています。