下顎前突と小児矯正のメリット
下顎前突に関してはここでも少しお伝えしてきたことがありますが、反対咬合、受け口、しゃくれとも呼ばれ、多くの方が矯正治療を受けられる症状の一つです。
受け口の患者さんで8020運動達成された方がいなかったというデータが発表されていましたが、見た目の問題だけでなく、健康に関してもとても大きな影響があります。
下顎前突はいくつか原因があり、症状にも種類があります。しっかりと咬合関係(噛み合わせ、特に第一大臼歯の前後関係)をしっかりと診断しないで治療を受けるのは危険だったりします。場合によっては単純に下顎の小臼歯を抜歯して、前の歯を後ろに下げるだけの治療で、噛み合わせの改善がされていないという問題も起きてしまいます。
第一大臼歯の噛み合せ前後関係を確認してみると、上あごより下あごが成長し過ぎた場合、下あごは正常でも上あごがあまり成長しなかった場合、歯の生える角度などが原因になっている場合など様々あります。
今日のテーマ、小児矯正に関していうと、小学校低学年あたりですでに下顎前突の症状が出ている場合は、上あごの劣成長の場合が最も多く、その原因として様々な癖が挙げられます。上唇の力が極端に強く、上顎の成長を抑え込んでいる場合、舌が下顎前歯を押し出す癖がある場合、独特の指しゃぶりの癖が長く続いた場合などが考えられます。
この癖が小学校中学年、高学年になるにつれ消えていくことももちろんありますが、実はすでに下顎前歯が上顎前歯よりも前に出ている場合、癖を取り除いても下顎前突は悪化していってしまいます。
小学校低学年のうちから下顎前突になっている場合は、早めの治療をする必要性が出てきます。そのまま放置して悪化してしまうと、上下の骨のバランスがくずれ、最終的に骨切という外科手術が必要になってしまう可能性もあります。小学校のうちに治療を開始することのメリットは癖を早い段階で改善することで、成長を正常方向に軌道修正することができる事です。そして骨の成長を利用して矯正治療を行える事です。
下顎前突は見た目にかなりわかりやすい影響を与えるだけでなく、食べ物を咀嚼(噛む)する機能、発音、磨き残しからくる齲蝕(虫歯)、歯周病など様々な問題につながります。できるだけ早い段階から診断を受けて、治療をする必要があるかどうかを確認しておくことをおすすめしたいと思います。