矯正材料の進化と、これから大切になること
こんにちは。横浜のプラージュ矯正歯科クリニックの野久保です。
矯正材料が日々進化してきていることは結構多くの方が認識し始めているようで、プラージュ矯正歯科には横浜という場所がらか、インビザラインや裏側矯正など見えない矯正装置での治療を希望される患者さんが多く来院されます。
日本人は欧米の方と比べて矯正装置に対する抵抗感が強いと言われてきましたので、この傾向は納得できます。けれど実は矯正材料の進化だけでなく、もっと大切な視点が矯正治療にはありますので、今日はそういったこともお伝えしていければと思います。
まず初めに矯正材料メーカ―が行った、矯正治療に対するイメージについてポジティブかネガティブかという調査をご紹介いたします。
Q)矯正治療に対してのイメージは?
ポジティブ:歯並びが綺麗になり、噛み合せが整うのでうれしい
日本74名、アメリカ152名、中国127名
ネガティブ:痛みや違和感、目立つことが嫌
日本126名、アメリカ48名、中国73名
やはりアメリカと比べると3倍近いギャップがありますね。そして同じアジア圏の中国もポジティブなイメージの方の方が多いことに気付かされます。
では実際どういった矯正装置であれば矯正治療を受けたいと思えるのでしょうか?今度は日本人のみに対するアンケート結果です。
Q)どういった矯正装置で治療を受けたいと思いますか?
1位:見えない矯正装置 130名
2位:違和感が少ない矯正装置 101名
3位:痛みの少ない矯正装置 99名
4位:取り外しができる矯正装置(インビザラインなど) 63名
5位:金属アレルギーでも安心できる矯正装置 28名
6位:当てはまらない 32名
順に見ていきましょう。
まず1位の見えない矯正装置に関してです。これは裏側矯正(舌側矯正、リンガル)やインビザラインをはじめとするマウスピース矯正で対応できるようになりました。矯正が始まった時代は歯の表側に金属のブラケットをつける治療しかありませんでした。しかも接着剤も開発されておらず、歯に金属のバンドを巻いてからブラケットをつけていたので本当に目立ちました。その後白や透明のブラケットが開発され、多くの矯正専門医でも扱うようになりました。そして近年裏側とマウスピース矯正が限られた矯正医の中で選択されるようになり、少しずつ増えてきています。
2位と3位に関してはブラケット自体の大きさとデザインが関係してきます。表側でいうと、ブラケットの角に丸みをつけたり、厚みを薄くすることで解決されてきました。またセルフライゲーション(デイモンシステムやクリッピー)という弱い力で治療する方法も増えてきています。
4位の取り外し矯正については、インビザラインの様なマウスピース矯正をイメージされる方と、床矯正をイメージされる方がいらっしゃるのではないでしょうか。マウスピース矯正の最大のメリットの一つは取り外し可能という部分なので、確かに矯正治療中のストレスはこれまでと比べると軽減されています。しかし、床矯正もそうですがしっかりと患者さん自身で装着していないと期待通りの治療結果を手にすることはできません。
5位の金属アレルギー患者さんの場合ですが、これは様々なアプローチがあります。ニッケルなどのアレルギー性物質が入っていないワイヤーとブラケットを選択することもできますし、インビザラインを選択することもできます。
このように矯正装置自体の進化はかなり進んできているので、多くの患者さんが望んでいるものは大体解決できます。そこから大切になることは、矯正専門医の技術と経験になってきます。どれだけ材料が進化しても検査と診断で治療結果は大きく差が出ます。
また、長い目で見た治療結果をどれだけ考えられるかもとても大切なポイントになります。噛み合せもしっかりと治療して歯並びを治さないと、後戻りであったり、顎関節症などの様々な弊害につながってしまうこともあります。抜歯、非抜歯、治療期間、費用など患者さん自身が気になる部分と同時に、少し先まで考えて矯正専門医と相談して矯正治療を開始していただければと思います。