拡大床という矯正装置
今回は、拡大床という矯正装置についてお話していきたいと思います。
拡大床とは取り外し式の矯正装置で、ネジやワイヤーの力を使って歯列の幅を広げる為のものです。
■拡大床を使用するメリット
この拡大床を使用するメリットとして、歯列の幅が広がることによる非抜歯治療の可能性が広がるということです。もちろん限界はありますので、全てが非抜歯で治療可能というわけでは無いという事はご理解ください。
取り外し式の装置なので、お子さまで学校に装置を着けて行くのが嫌だと言う場合に、日中は取り外していただき、帰宅後から翌日家を出るまで装着するという使用方法もあります。
■拡大床に関しての矯正学会注意喚起
ただ、最近この拡大床に関しては矯正学会でも注意喚起が出されています。 と言うのは、
「治療費が安い」や「すぐに治る」などの謳い文句で安易に治療を選択してしまい、トラブルになるケースが増えているのです。
歯列の大きさは個人差があり、現状で拡大が可能かということはしっかりと検査してみないと分かりません。しかし、安易にこの拡大床で拡大をしてしまうと、顎が拡大されるのではなく、歯だけが外に倒れてしまうということもあります。そうなってしまうと、咬み合わせがよりひどくなってしまうということにもなりかねません。
ただ、この拡大床が全て悪いかというと、もちろんそんなことはありません。先程も書いたように、きちんと拡大が出来る症例であれば非抜歯での治療の可能性を高くすることも出来ますし、お子さんのライフスタイルに合わせた使い方も出来ます。つ
つまり、拡大床に限ったことではありませんが、矯正治療を行う前にしっかりと検査・診断を行なってから治療の計画を立てているかということが一番大切なところです。
私たち矯正専門医は、この検査・診断から治療計画立案までの過程を何度も行い、症例毎に可能な治療方法をしっかりと判断しています。矯正治療は、費用面や治療期間と少し負担が大きくなってしまうことがありますが、その分しっかりと治療をして長く綺麗な歯並びを維持してもらうために必要な治療方法をご提案させていただいています。
せっかく治療を行うのですから、しっかりと納得してから治療方法を選択していただくということをお勧めいたします。