免疫と歯周病
今回は、免疫と歯周病の関係についてお話していきたいと思います。
■磨き残し以外にも歯周病になる要因=歯ぎしり
歯周病の大きな要因のひとつに、歯並びが悪く、磨き残しから歯周病になるということは以前ご紹介したことがあります。
しかし、磨き残し以外にも歯周病になる要因があるのです。その要因として最近よく言われているのが歯ぎしりです。歯ぎしりは前後左右の噛み合わせのバランスやストレスが原因で起こりやすくなるといわれています。歯ぎしりは寝ているときや無意識のうちに、歯に数十キロという力が加わってしまうため、歯周組織や歯茎に炎症を起こしてしまいます。
朝起きて少し歯や顎が痛いと感じる方は歯ぎしりをしてしまっている可能性が高いのではないかと思います。また、ストレスを感じていると唾液の分泌量が少なくなるとも言われています。唾液の分泌量が少なくなると口腔内が乾燥し、殺菌効果が薄れるため虫歯になりやすくなります。
また、少し難しい話になりますが、人間はホメオスタシスの三角形という免疫・自律神経・ホルモンバランスによって健康を保っているとされています。
ストレスなどで自律神経のバランスが崩れるとホルモンバランスも崩れてしまい、免疫が下がってしまうといったように3種が密接に関係してバランスを整えています。免疫が下がってしまうということは、口腔内の虫歯菌や歯周病菌が繁殖しやすくなり、虫歯や歯周病にかかるリスクが増えてしまいます。
この関係は、歯並びや顎の位置が悪い患者さんにも当てはまっています。こういった患者さんは、食べ物などを噛む際にしっかりと噛めず、無理矢理噛んでいる状態が続くと肩こりや片頭痛といった症状が出てしまうこともあります。そうするとさらにストレスが掛かり、自律神経の乱れにつながるといった悪循環が起こってしまうこともあります。
■矯正治療で虫歯や歯周病などのリスクを減らしていくことも可能
若い方が歯周病と聞くと、自分にはまだまだ関係のないことだと思われがちかもしれません。しかし、歯周病の要因は先にも書いたように様々なものがあります。そのため、他人事のように考えず、一度ご自身に当てはめて考えてみるのもいいのではないかと思います。
矯正治療で叢生(乱ぐい歯、凸凹)や上顎前突(出っ歯)、下顎前突(受け口、反対咬合)の原因をしっかりと探り、その原因を改善して治療を行うことによって虫歯や歯周病などのリスクを減らしていくことも可能です。
なかなか矯正治療に踏み出すのは敷居が高いと感じる方もおられるかもしれませんが、矯正治療は単純に歯並びを改善するだけでなく、こういった病気との相互関係もしっかりと見ながら防いでいくための治療でもあります。
相談に来たからいきなり治療を行うといったことはありませんので、何か気になることがある方はお気軽に相談だけでもお越しいただけたらと思います。