よく噛むという事の大切さ
今日は、よく噛むという事の大切さについて再認識していただけるようなお話をしていきたいと思います。
矯正治療を検討する人に治療の目的を尋ねてみると、多くの人が見た目を良くするためと答えるのではないかと思います。もちろんそれも大事な理由ではありますが、根底としてしっかりと噛めるようにするための治療という事があります。矯正治療が美容ではなく、医療行為に分類されているのはこれが理由となります。
ではしっかりと噛むという事はどれだけ大切なことなのでしょうか。
噛む事の利点
まず大きな利点として、食べ物をしっかりと噛むという行為は消化吸収の効率を上げることに繋がります。食べ物を細かく噛み切り、すり潰すことによって消化液に触れる面積を増やし、消化しやすくしています。また、噛む回数が増えると唾液の分泌量も増えて、唾液の中に含まれている消化酵素の働きを最大限利用することが出来るようになります。
次に考えられる利点として、骨や筋肉の成長が促されるという事が挙げられます。成長期のお子さんは、しっかりと食べ物を噛むという行為を繰り返すことによって顎の骨の成長や口周りの筋肉の発達を促します。最近は昔と比べると柔らかい食べ物が多くなってきており、顎の骨の成長や口周りの筋肉が発達しきっていないお子さんが増えてきているように感じます。骨や筋肉の発達が不完全だと叢生(デコボコ、乱ぐい歯)や上額前突(出っ歯)などの不正咬合の要因となります。
噛むという行為自体にストレス解消やリラックスするという利点もあります。いくつになっても自分の歯でおいしい食事を摂るということはQOLの向上にも繋がりますし、バランスよく栄養を摂取することにも繋がります。また、よく噛んで食事を摂るという行為自体に脳の発達を促すという効果も得られます。心身ともに発達を促すことに繋がっているのです。
意識の違いが大きな変化に
小さい時はご自身の親からよく噛んで食べなさいと言われて育ってきた人も多いと思いますが、忙しい生活の中でついつい早く食べる習慣がついてしまっているという人も多いのではないでしょうか。
仕事の合間のお昼ごはんなどは時間がないという人もいるかと思いますが、せめて朝ごはんや晩御飯の時は少しゆっくり目によく噛んで食べるという事を意識してみてはいかがでしょうか。ちょっとした意識の違いが、長い目で見ると大きな変化に繋がってくるかもしれません。